備えは必要だけど「まだ早い」?

私は今54歳。両親の介護と見送りを終え実家の片づけを始めたことをきっかけに、自分が60代・70代になった時に備え、終活を含めた準備アクションを始めることにしました。そのひとつが当サイトのテーマでもある「自分見守り」です。

「老後の準備なんて早いでしょ、まして終活だなんて」

と驚かれることもありますが、本当にそうでしょうか。

まわりの同世代と話をすると「自分もいつかやらなくちゃと思いつつ、先送りしちゃっている。いつかそのうち」という答えが返ってくることが多いです。じゃあいつがベストタイミングなんでしょう。締切ってあるの?

今回はタイミングについて考えてみたいと思います。

INDEX

  1. “気力”減退で腰があがらなくなるらしい
  2. 50代・60代だって、Xデーは突然やってくる
  3. 「備えあれば患いなし」は災害だけじゃない
  4. 締切り日を設定して、先送りを防止する

“気力”減退で腰があがらなくなるらしい

「自分はとにかく早めに老後に備えておこう」

そう切実に思うようになったのは、両親の晩年の様子を見ていたためです。

父は、かなり几帳面な性格の人でした。
定年退職後の趣味だった家庭菜園も、ノートにきっちりと記録をつけて取り組んでいました。

とはいえ加齢の影響には抗えなかったようです。70代になると、ちょっと面倒なことを後回ししてしまうことが増えました。口癖は「いいよ、後でやるから」。今自分が実家の片づけをしていても、そうやってとりあえず倉庫に押し込められていたものや、庭の片隅に積み上げられている粗大ごみなどが目立ちます。

体力が衰えて、力を使う作業が億劫になってしまったというのもあると思いますが、そうではないことでも後回しにすることが増えていました。それは気力や集中力の問題なのかなと思います。

もちろんこれは人によるので、70代後半や80代でも気力に満ち溢れて、若い頃や4~50代の頃と同じようにてきぱき何でもこなす人もいると思います。

ただ自分は割と父親似。「自分も父と同じように加齢で気力・体力衰えて大事なことも後回しにしがちになる可能性は大」と思っています。父は76歳で悪性リンパ腫になり、その後は体力も落ちて、やりたいことも満足にできない時間が増えていきました。本人ももどかしく感じていたと思います。

たとえ健康体で身体を動かすこともできたとしても、気力や集中力が持続しなくなると、荷物の整理とか自分に何かあった時の備えといったちょっと面倒で気が重たい作業はなかなかできないものです。だから「まだ早いかな」くらいで着手しておいて、ちょうどいいのではと思うのです。

50代・60代だって、Xデーは突然やってくる

50代に入った頃から、同世代の友人・知人の間で重たい病気になる人が現れたり、急逝の知らせが届くことも出始めました。60代になるとさらに増えてくるのでしょう。

今、平均寿命は男性が81.09歳、女性は87.14歳(関連記事:NHK)。ただ実際には寝たきりになってしまうケースも多いことを考えるのは、大事なのは「健康寿命」のほうかもしれません。健康寿命については、厚生労働省が3年毎に実施している「国民生活基礎調査(大規模調査)」のデータをもとに発表されています。

2019年時点での健康寿命は、男性が72.68歳で女性が75.38歳です(関連記事:内閣府)。

まだまだ余裕だなと思う方も多いと思いますが、これはあくまで統計上の話。50代だって脳梗塞になってある時下半身まひになってしまう人はいますし、それまで何の持病もなかった人が、急にヘビーな闘病生活に突入してしまうことだってあるのです。

私自身についていうと、2024年5月に「後縦靭帯骨化症」という病気の診断を受け、8月に手術を行いました。頚椎にある靭帯が骨のようになってしまう指定難病のひとつで、自分は骨化の厚みもかなりあり、それが脊髄神経を圧迫してしまって神経症状が現れていました。

この病気の大きなリスクは、骨と神経の間のすき間が非常に少なくなっていることにあります。転倒などで強い衝撃が加わった時、骨が脊髄神経を傷つけて一気に症状を悪化させてしまったり、最悪の場合、四肢麻痺で寝たきりになってしまうこともありうるのです。

私は、軽い痺れ程度で発見できたからよかったものの、そうではなくバイクの転倒事故など起こしていたら危ないところでした。50代だって60代だって、明日何が起こるかなんて誰もわからないのです。

「備えあれば患いなし」は災害だけじゃない

「不安を抱えた状態」というのは誰にとっても楽しくないものです。首都直下大地震が来て、生活もままならない状態になってしまったらどうしよう、急な病気で寝込んで外出もできなくなったら、急に仕事を失って路頭に迷ったら、スマホを盗まれてしまったら・・・などなど。性格の違いもあると思いますが、人によっては悪い想定ばかりして、ため息をつきがちなんて人もいるでしょう。ため息を何百回ついたってなにも解決しないとわかりつつ。

そんなため息を消す最良の方法は「やれるだけのことはやっておく」です。

実際には「万全の備え」なんてなく、ある程度備えることしかできないケースも多いのですが、それでも自分なりの備えができたと思えば、気持ちもすっきりするはずです。前向きな気持ちになれるかもしれません。

備えあれば憂いなし━━。これは防災だけの話ではないのです。

「終活」というと、自分が病気で動けなくなったり死んだりした後のための準備ということで、重たく暗い印象を抱いている人も多いのですが、実際には、先の備えをして気持ちをスッキリさせておくことで、元気に動ける残りの時間を、憂いのない、より楽しく満ち足りたものにするという効果も大きいのです。終活をすすめる記事などを読むと、終活をしたことで年を重ねていくことへの恐怖感が大きく減ったという声もありました。

そう考えると、老後のことを考えて不安や憂鬱になるのであれば、ちょっと早目かなと思っても、40代・50代のうちに「終活第一弾」もしくは「プレ終活」とでもいえるアクションをして、気持ちをスッキリしておくことは大事だと思います。

締切り日を設定して、先送りを防止する

とは言え、やっぱりなかなか腰ってあがらないものです。
私も、親の介護に区切りがついた直後から「自分の人生後半戦を真剣に考えて、必要な準備をしよう」と思い、TODOリストにも最重要課題として書き込んでいたにもかかわらず、着手しないまま一年が経過してしまいました。

今年2024年の年間目標にも入れているので、12月31日がデッドエンド。「残り3か月でなんとかしよう」と遂に腰を上げた次第ですが、これも頚椎の病気と手術を経験していなかったら、先送りしていた可能性大です。

先送り防止にはやはり、「締切日」の設定が必須です。

あまり残り時間が長すぎると逆に腰があがらなくなることもあるので、2~3か月くらいの期間設定がいいかもしれません。そしてまずは「具体的なタスクを書き出す」ことから着手しましょう。そして次はその書き出したひとつひとつについて、締切り日を設定してスケジューリングしていくのです。

まわりの人を巻き込むのも有効な手段です。
同じように「自分の老後に備えたアクションを開始したい」と思っている同世代の知人・友人がきっといるはず。

そんな人を見つけて、一緒にディスカッションする時間を設けるのです。
自分一人でもんもんと考えているより、誰かとの会話を通して、自分はどうしたいのか、何をすべきなのか、考えを整理していく方がやりやすいこともあります。

もし複数の人が見つかったなら、一度オンラインミーティングを企画してもいいでしょう。
一人10分くらいの持ち時間で、発表を行うんです。例えば「今抱えている課題と将来に備えてのアクションプラン」などのテーマを設定する。そうすればきっと、そのミーティング時間までに皆それぞれ考えて、書き出す作業をすることになります。かなり強制力のある「締切日」が設定されるわけです。

誰かに発表するということ自体にも意味があります。
自分一人だと、ちょっとややこしい部分などは考えること自体後回しにしてしまったりもしますが、人に聞かせるとなるとそうもいきません。第三者の目線も意識しながら考えることで、自分自身の現状をより客観的にとらえることもできるでしょう。

私自身も、SNSで「自分自身の老後の準備をして、自分見守り体制もちゃんと整えたい」と書いたところ、共感してくれた人が何人もいて、そのうちの何人かとは近いうちに発表しあう場を設定しようという話になりました。年内に実施できれば、来年の具体的なアクション計画にもつながると思うので、早めに企画しようと思います。

「いつやるか?今でしょ!」

は、予備校のTVCMでブレイクしたフレーズで、2013年の新語・流行語年間大賞にもなりましたが、まさにこれですね。

ちょっと早目かなと思う時がベストタイミング。
どうせやるなら、早めにやってすっきりしちゃうのが吉。その後を平穏な気持ちで過ごすためにも、「先送り」は防止して「先手」を打っておきたいところです。


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